A WINDOW STORY


・4月20日月曜日
 きっと厚木基地の騒音対策なのだろう、うちの窓はどれも防音サッシだ。たまに機嫌のいい夜なんかに、隣家を気にせず大きな音で音楽を聴くことができて気に入っている。飛行機の音はたまにうるさい時があるという程度なので、防音サッシの存在に気付いたときはなんとなく得した気分だった。
 けれどなぜかトイレの窓だけは古い木のサッシで、笹の葉のような模様の磨りガラスに穴の空いた青い網戸と、そこだけローテク感が漂う。(家自体も決してハイテクではないが。) 風の強い日にはカタカタ音を立てたりするが、それはそれで気に入っている。なによりも、そんな一角があることで多少なりとも力の抜けた空間が在るという、矛盾を伴う安心感のようなものを感じるのだ。そしてその窓の向こうには裏に住むお婆さんが腰を曲げて作業をする畑が見えることも、そんな温かい印象を感じずにはいられない大きな理由だ。
 なぜトイレの窓だけなのかは謎のままだが、きっと作った人もわかっていたんだなと、勝手な解釈で都合のいい後味を残す。