12/31/2014

誰かのお決まりコース



12月27日土曜日
 夜明け前に起き上がって温泉に入り、部屋で入稿ギリギリのデータをつくった。こんなところに仕事を残して持って来た自分が情けなかった。チェックアウトを済ませてからまたフラッと歩き、近くの100円で入れる温泉に入った。福岡の友人がおすすめしてくれたその温泉がとても好く、一緒に入っていた常連のおじいさんもなかなか画になっていた。ぼくが先に着替えて出るとき、「また会いましょうー」と言って手を振ってくれたのが可笑しかった。外に出たところで一人のおばあさんがベンチに腰掛けていて、ぼくもそこに腰掛けて靴ひもを結んだ。数カ月かけてその周辺の温泉をすべて巡り、その末にここの浴場の会員になった、という話を聞いて嬉しくなった。別府を出る前に最後に選んだ温泉だった。
 その前日も別府に来る前に石仏を観に行ったのだが、その日も福岡に帰る前に一カ所また石仏を観に車を走らせた。石彫をしている妻の希望で行ったのだが、思いのほかそのどちらもとてもよくて、ぼくも何かしら感じるものがあった。
 福岡で過ごす最後の夜は友人夫婦とまた合流し、お決まりのように遅くまで屋台で飲み、ラーメンを食べた。ぼくはおでんは大根が一番好きだ。そして、特に誰にも言わなかったのだが、その屋台で食べた大根のおでんは、もしかしたら今までで一番美味しかったかもしれない。