4/17/2014

summer works 1998






 先日届いた一枚のポストカード。自分でも持っているポストカードだったから、帰宅してテーブルに置かれたそれを見たときは、すこし変な気分だった。送り主はその作者、永井宏さんの奥様、恵子さんだった。その数日前に季節のご挨拶のような葉書をこちらから送ったので、そのお返事としていただいた。葉書のやりとりはとても心地いい。そのポストカードが届いた日の翌日は休みだったので、僕は三浦半島まで車で走って行った。まず永井さんのお墓参りをし、葉山のsunshine+cloud内のカフェで昼ご飯を食べ、友人と合流してコーヒーを飲んだ。港町にある立派なお寺の裏にある墓地はとても静かで穏やかな空気が流れていて、毎回、気付くとゆっくり深呼吸をしている自分に気付くような場所だ。すこし高台にあって、向こうには海が見える。そしてトンビがずっと鳴きながら旋回している。海辺の町では当たり前のことか。sunshine+cloudではまさに前日にポストカードを送ってくださった恵子さんにも久しぶりに会え、ちょっとした近況報告のおしゃべりを顔を見てできたことがうれしい。表情も雰囲気も、以前よりも明るい印象を受けた。もっとも、恵子さんのことはまだまだ知らないことばかりなのだけど。
 友人カップルとコーヒーを飲み、散歩し、彼らの家でゆっくりしているとあっという間に日が暮れていった。雨が急に降ってきたと思ったら5分もせずにすぐに止んだ。そのせいですこし冷えた夜の空気の中、寒いなあと呟きながら帰路につく。それでも昼間はTシャツビーサン日和で、久しぶりの友人との時間も楽しく、温かい一日だった。
 今夜は等々力にある巣巣で開催中の永井さんの展覧会へ。恵子さんをはじめ、永井さんの近くにいた方々のトークと、去年僕の展覧会オープニングでもライブをしてくださった山田さんのライブ、というとても興味深いイベントが行われる。永井さん自身や、永井さん周辺の人やコトにずっと憧れてきた僕だが、亡くなってしまってから、その気持ちはどんどん強くなっているように感じるし、この気持ちはずっと持ち続けていくのだろう。もう彼はいない、ということで、本当に永遠という言葉が意味を持ってしまった、というような感じ。