春を待つ椅子


 コンクリートのテラスがあることもこの家を気に入った要素のひとつだった。先日、気持ちよく晴れていた休日の午前中に、テラスをすこし居心地よく作り直した。久しぶりに読み返していた永井さんの「夏の見える家」の表紙は、まさに当時住んでいた家のコンクリートのテラス部分を写した写真で、ちょっとした共通点がうれしかったりする。最近リサイクルショップで数百円で買って来たこの椅子に座ると、向かいの大家さん宅の桜の木が正面に見える。春をこんなふうに楽しみに待つ気分は、今までの自分には無かったと思う。そんなことを思いながら椅子に座っていたら、膝のあたりに蚊がとまって、またすぐどこかに消えた。その夜、もう蚊が出たということを相方に伝えると、きっぱりと、それは蚊じゃないよと言われた。去年の9月に引っ越してきた時のことを思い返すと、この家の庭は、テラスでゆっくり、なんて気分にならない程の蚊のたまり場だった。それだけに蚊の問題は大きなことなのだ。今年は何か手を打ちたいとは思うが、今はまだ呑気にこの椅子から見える春を楽しみに待つ。