Weekends in My Home Town

Friday


 専門学校に通っていた頃、朝9時過ぎに犬の散歩に出ると、神社の階段の下でそれぞれ自分のシルバーカーに腰掛けて休憩しているおばあさん達によく会った。そこは住宅地を抜けて田んぼ道を歩いて行った先にある、人気のない小さな神社だ。本当にたまに、掃除をしているおじさんを見掛けることがあった。おばあさんの集まりは日によって3人だったり4人だったりした。1人だけだったこともあった気がする。ちょうどそこに出くわした日は僕も一緒に階段に腰掛けて話を聞かせてもらったり、何度か写真も撮らせてもらった。休憩を終えて階段を登ろうと立ち上がる時、おばあさんたちは「発車しますか。」と言っていた。別に冗談のような言い方ではなかったし、いつもの合言葉のように言っているのが面白くて覚えている。他にも色んな話を聞いていたはずだが、あと覚えているのは、そこは火の神様だということくらいだ。
 いつからかその時間に散歩に行く機会が減り、会う頻度も減っていった。随分経ってから、ちょうどその時間帯に散歩に出た時におばあさん達のことを思い出したが、その日は誰もいなかった。また違う日の午前中には、ポツンと置かれているベンチに寝転がっている男子高校生を見た。彼の着ている制服からすぐに自分の母校の生徒だとわかった。テスト期間中で早く帰ってきたのか、さぼっているのかはわからなかったが、どちらにしてもそれは微笑ましい光景だった。彼にひと言でも声を掛けていたら、また何か物語が始まりそうなシチュエーションだったなあと、これもあの神社に行くと思い出す出来事だ。
 話はすこし変わり、とても神経質だったが、言い換えれば、生活の中の本当に細かい作業まで驚くほど丁寧に行っていた祖父。祖母より早く、僕が高校生の頃に亡くなった祖父に僕がやってあげられたことは何も無いように思う。荒れてきている実家の庭は、きっと祖父の生き甲斐のひとつでもあっただろう。
 3日間の帰省。神社、実家の仏壇や庭、散歩しながら見ていた近所の景色、3人の子を育てる姉家族との団らん。今回久しぶりにゆっくりと見た実家の周辺の物事は、多くのことを考えさせてくれた。今ならもっと、僕は彼らと丁寧に付き合うことができるだろうか。


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