BOOK MARKET 2014

朝の風が好きな理由
カフェが必要な理由
この仕事を選んだ理由
愉快な夏に身をまかせる理由
前を向き、深呼吸できる理由
無邪気に突進できる理由
ロマンティックに生きようと決めた理由

 永井宏さんが中心になって作られた「ロマンティックに生きようと決めた理由」という本の帯にはこんなコピーが書かれていた。この本が無ければ今の僕は無い、と大袈裟でなく思っている一冊だ。地元のセンスのいいお洒落な雑貨屋兼本屋のようなお店で見つけた時は18歳だったか19歳だったか、たぶん19歳になっていたと思う。写真学校に通いながら、課題に追われる日々でもなく、意欲的に制作に励む訳でもなく、頻繁に映画館に通ったりカフェで心地いいと思える時間を過ごすことを覚えはじめていた頃だった。その本を読んだとき、ちょうどその頃漠然と描き始めた「こんな時間を過ごしていきたい」という思いを、自分の知らない土地で、心地よく生きている大人たちと共有できた気がした。それから、永井さんの本を読む日々が始まり、葉山への旅行が始まったのだった。
 最近になってすこしずつではあるが、どんな人が、どんな会社が出版しているのだろう、というところを気にして本を見てみるようになってきた。だがそんな意識も無かったあの頃から、その本の出版社の名前だけは不思議と頭に入っていたのだ。それ以来その「アノニマ・スタジオ」という名前は度々目にする機会があり、こういう雰囲気のものを発信している出版社なんだな、となんとなく意識するようになっていた。と言ってもこれまでそこから出ている本を意識的に買ってきた訳では無いが、今自宅の本棚に目を凝らすと、いくつもその文字が見える。そこで本を作っている人たちとも、きっと、同じような時間を思い描いているのだろう。そうして心地いいものを共有している気分になって、僕はまたすこしうれしくなる。
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 先日書いたTABI BOOKSの代表であり旅ベーグル店主でもある松村純也さん(MJでありマツジュンでもある)に声を掛けていただき、来週末の2月8ー9日の2日間、東京蔵前にあるアノニマ・スタジオさん主催の'BOOK MARKET 2014'に参加します。僕は先日まで展示していた'MAYBE AMERICANS+'のZineを並べます。間違いなくいい本が勢揃いするであろうイベント、ご都合付く方はぜひ遊びに来てください。僕は9日の午後からゆっくり行こうと思っています。以下、BOOK MARKET 2014詳細です。(アノニマ・スタジオHPより)

BOOK MARKET 2014 
6回目を迎える「本当におもしろい本」だけを集めた本好きのためのブックフェアBOOK MARKET。
本はもちろん古本やリトルプレスの他、本をテーマにしたイベントも開催します。
今年も3冊以上お買い上げの方に福田利之さんエコバッグをプレゼント!
ご来場、お待ちしております。
会期|2012年2月8日(土)・9日(日) 11時~18時
会場|Cielo y Rio 5F イベントスペース
〒111-0051 台東区蔵前2-15-5

蔵前駅から徒歩5分。1階がレストランのビルの5階。
前会場のアノニマスタジオから徒歩1分

カフェ・ジェネレーションTOKYO


 友人が貸してくれている永井宏さんの「カフェ・ジェネレーション TOKYO」を読みながら、その日は用あってすこし遠出をした。なんとなくずっと読んでいなかった一冊だ。読み進めていくほどに、それは永井さんにどんどん惹かれていった20歳ごろのことを思い出させた。ちょうど喫茶店やカフェに自分の居場所を探し始めたころだ。僕もそんな雰囲気に憧れていたし、憧れ続けているんだった。帰りに、僕が東京で唯一馴染みの店と言えるカフェに寄って、すこし久しぶりに会う店主と話をした。その時間、そしてその行為自体に満足する気分こそが、あの頃自分が見つけ始めたものかもしれない。お腹は空いていたが、コーヒーだけ飲んで帰った。コーヒーだけ、とは言ってもついつい長居してしまった。

Thanks for Your Comment

 「写真を好きになったきっかけは杉江さんの写真です。ずっと前に、白いランニングシャツを着たおじいさんを漁港(?)で撮った写真を見て以来、ずっとその構図が頭から離れません。---途中省略--- 傍観(被写体との距離)を大切にしていて、その距離感が私も好きです。お身体に気をつけて、心に残る写真をこれからも撮り続けてください。」

 今回の展示は芳名帳の存在が分かりにくかったかもしれない。ほとんどページは進まなかった。そんな中、ひとりの方からこんなコメントをいただいた。ひとりでもこんなふうに思ってくださっている方がいると思うと......。
 今のところは特に次の展示は決まっていない。それに、今は展示よりもやりたいと思っていることがある。早く発表したい、動き始めているプロジェクトもあったりする。変わらず自分のペースでですが、お手柔らかに、今後も引き続きどうぞよろしくお願いします。
 ちなみに、おじいさんは白いランニングシャツなんて着ていない。何度見ても見事な日焼けだ。



He's my Friend

 先日書いた'MJ'というZineの作者とはちょうど一年ほど前に知り合った。ひとまわり以上歳が離れていることや、まだ付き合いが浅いこともあって、僕は「知人」という言葉を選んだ。正確には、最初は友人と書いたのだけど読みなおした時に、先に書いたような理由から、彼は僕から「友人」と呼ばれることを気にしないだろうか、とすこし気になって「知人」に書き換えたのだった。昨日、その彼に送っていた荷物が届いたようで、インスタグラムに載せてくれていた写真には「友人から届いた封筒」というコメントが書かれていた。僕はそっと、先日の日記を書き直した。

THANKS, TROUBADOUR AND YOU ALL!

 先日19日で、横浜たまプラーザのアメリカンダイナー、TROUBADOUR(トルバドール)での展示が終わった。この素敵なお店との出会い、そして約2か月弱という長期間の展示、とても良い機会をいただいた。友人から連絡が入る度に予定を合わせてブランチやディナーを食べに行くことができ、行く度にご飯の美味しさに感動し、心地よい時間を過ごした楽しい日々だった。僕がこんなことを言うのも変かもしれないが、ご飯の満足度の高さに加えていつも関心したのは、スタッフの方々のホスピタリティの高さだった。本当に毎回お店の扉を出る時は、気分がよかった。これからも何度も足を運びたい大好きなお店だ。普段も渋いアメリカのミュージシャンのLPや写真、ポスターが飾られていて、旅行気分で楽しめるような雰囲気あるお店なので、僕の展示が終わってもおすすめし続けたい。ぜひどうぞ。
 展示は階段を上って行くと始まり、2階の開けたフロアがメインだった。1階にはバーがあって、そこにも数点展示した。昼と夜で雰囲気が変わり、そのどちらも好きだった。

 展示期間中は本当に楽しませてもらいました。お腹もいっぱい。おかわりを注ぎに来てくれるコーヒー、一体僕は何杯いただいただろう......。
ありがとうございました。


In the night...


'MAYBE AMERICANS+' Photos and Texts
at TROUBADOUR
Nov. 25th, 2013 - Jan. 19th,2014

THANKS, TROUBADOUR AND YOU ALL!!

Midnight Joy

 仕事から帰る途中に連絡が入り、妻とひとりの友人と3人でご飯を食べて帰宅した。思いがけずいい夜を過ごした。もう遅い時間だが、冷凍していたクッキーを焼いてコーヒーを淹れて、寝室へ運ぶ。暖房が効いた寝室で、布団の横に適当な布を敷いてクッションを背もたれにしてコーヒーを飲む。いつもはやらないことだからか、なんとなくすこし特別な、豊かな気分。まだ寝ないでこの感じを楽しみたいと思う。もう随分前から切れたままだったギターの弦を一本張り替えた。正直に言うと、僕はスムーズに張り替えられずギターの弦にいらいらして、それに見兼ねた妻がやってくれた。大して練習もしたことのないギターを適当に爪弾いていると、大体10分もすれば先に進めなくなって、つまらなくなって辞める。毎回そんなことの繰り返し。クッキーとコーヒーがおいしい。ギターを置いてからは、コーヒーを飲みながら、秋に買ってから読むことができずにいた友人のZineをようやく読みはじめた。彼の詩と、彼の周辺にいる人々の短いけれどセンスのいい文章。こんな夜中にひとり静かにいい気分になってしまった。この時間でもいつも通りマグカップで2杯は飲める量を淹れて来たが、もうそれも飲み干した。台所へ行き、小さなグラスに養命酒を注ぐ気分でワインを満たして寝室へ戻る。そういえば、帰り道に降っていたみぞれ混じりの雨の音はもう聞こえてこない。
明日からの生活がすこし楽しくなりそうなこの予感はなんだろう。特に今日までと何も変わらない予定なのだけど、彼のZineで読んだいくつかの言葉は、僕にとっては充分にそんな気分にさせられるものだった。そして、彼にも会いたくなってしまうような。

'MJ' published by TABI BOOKS

MAYBE AMERICANS+ Special Night



It's 6 o'clock in the morning. There is a ripple in my heart and it never fade away.
今は朝の6時。心の中にさざ波が打ち寄せて、それは決して消えない。


 ちょうど1か月前の12月1日は、現在横浜トルバドールで展示中の、MAYBE AMERICANS+(1週間遅れの)オープニングパーティーだった。僕にとっては夢のようなことが実現した夜でもあった。僕がGOMES THE HITMANを聴き始めた高校生の頃、最初に買ったのは『Ripple』というアルバムだった。そのアルバムは先のアメリカ旅行中、特にレンタカーで渇いた土地を走っている時に聴きたくなって、iPhoneから流して聴いていたものだ。ジャケットや歌詞カード内の写真もそんなアメリカの土地で撮影されたものだから、そのイメージが強く残っていたからかもしれない。そしてそんなふうに付き合い続けてきたアルバムの中に収録されている『ドライブ』という曲に、僕の朗読も織り交ぜて演ってみよう、という話になったのだ。山田さんからそんな提案を受けたとき、うれしい興奮と同時に、正直言って不安もあった。自分一人での朗読もまだまだ危なっかしいのに、ミュージシャンと一緒に合わせるだなんて。けれど、軽くリハーサルを、と本番の2日前に山田さんの自宅へお邪魔した夜、不安はスッキリ無くなって、ワクワクする気持ちにすっかり変わってしまった。お菓子を食べてコーヒーを飲んでいると、もう何をしに来たんだか、ただまったりしに遊びに来たような気分になっていた。そしてそろそろやろうか、と大量のCDとギターが並んだ仕事部屋に移ると、山田さんの表情も穏やかながら引き締まったようで、すこし緊張した。目の前で僕のためにギターを抱え、弾き、そして歌い始めた。なにも大袈裟な言い方ではないのだ、僕にとっては。目の前にいる人は高校生のころから聴いてきたミュージシャンで、その人の自宅で一緒に何かをやろうとしているのだから。今までに感じたことの無い感覚だった。「ここで何か文章読んでみて」の合図でひとつアメリカでの日記のようなものを読む。それからまた山田さんが歌い、また僕が読む。『ドライブ』の最後は英語の歌詞を繰り返して終わりに向かう。その日本語訳を僕が歌に輪唱するように読む......。
 パーティに来てくれた友人知人から最も多く言ってもらえたのが、その『ドライブ』での掛け合いが良かったという感想で、それを聞くと本当に、本当にうれしい。当日僕は色んな準備が整っておらず終始バタバタしてしまったけれど、みんなが美味しいトルバドールのご飯を食べ、乾杯し、おしゃべりをしながら過ごしていた、その様子もうれしかった。そしていつものセットリストとは全く違う'アメリカ的'な曲をこの日のために用意して来てくれた山田さん。カバー曲なども含めはじめてライブで聴く曲がたくさんあったけど、なんといっても自身の曲『光の葡萄』が深く響きわたった。急遽参加してくれたシンガー立花綾香さんのコーラスもとても強くきれいに響いてきた。
 あの夜、なんとなく会場全体がきらきらしていたのは、山田さんがステージ周辺にセッティングしてくれた電飾のおかげだけでは無かった。集まって来てくれた素敵な友人たちに感謝を。僕の夢もひとつ静かに叶ったような、そんな夜だった。
山田さん、どうもありがとうございました。きっとこれがひとつの始まりでもあると信じて。
 付け加えるような挨拶になってしまいましたが、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。お手柔らかに見守っていただけますように。
日付は変わってしまったけど、元旦の夜中に、昨年中に綴れなかった思い出を振り返りながら。穏やかな正月を過ごしています。

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『ドライブ』 2013.12.1 ver.

原曲 : GOMES THE HITMAN

作詩 / 作曲 : 山田稔明
(オリジナルの詩を斜体で、僕の詩を本文と同じフォントで記しました)


こぼれ落ちてゆく風景が 僕の背中をずっと眺めてる
やたら大きな満月が 夜の舗道に影を刻み込む
名も知らぬ川を渡る 水面にはもうひとつの空

マクドナルドで買ったチーズバーガーとポテトはもう冷たい
なんとか逃げ込むような思いでたどり着いた、はじめてのモーテル
はじめての夜のフリーウェイで随分と神経を消耗してしまった
目の前の食べ物は決しておいしくないけれど
目の前の状況は、たぶん僕が求めていたものだった
この夜、やっと自分の旅が始まったような気がした

長いカーブに揺られて 右手には海が大きな波を抱く
開け放った窓から 吹き込んだ風が静かな闇を裂く
指先で燃える煙草 でたらめにめくられた地図

目が覚めて不機嫌な君を またすぐに夢に誘うのは
繰り返す夜のリズム 遠くには街の薄灯り

探していたキャンプ場は見当たらない
そこにあったのは、息を呑むほど大きな岩がひとつになったような風景
土なんてほとんど無いのに、意外と色々な植物が生きている
からからに渇ききった枯れている木もあるが
そこには、そんな枯れている木も無くてはならなかった
軽いクライミングをするような気分で、一番上の岩の端まで登った
どうしようもなく渇いた風景を見渡していると、
もう遠くに見える駐車スペースから、おじさんがひとり歩いて来ているのが見えた
風で飛ばされそうな帽子を手に持ち、その手を大きく振った
手を振り返してくれたおじさんの顔も、きっと笑っていたと思う

滑り込んだドライブイン 植え込みで猫が息をひそめ鳴く
白い息を吐き出して 流れゆく雲に大きな伸びをする
ひとつだけわかる星座 すこしずつ色褪せた空

目が冴えて退屈な僕を この世の果てに連れてゆくような
どこまでも続く轍 僕をそっと追い越した空
忍び寄る夜の終わり いつか見た燃えるような赤

サンフランシスコへ着く前の夜
レンタカーで移動する最後の夜
そこには道だけがあった
海岸通りから一本反れて丘を上がって行く
上がって行くと海が見える
さっきまでずっと横目に見ながら走っていた時とは違う、
もう日が沈んでしまうところで、黒い海が見える
路肩にテントを張り終えると、もう辺りは真っ暗だ
ヘッドライトの灯りも消そう
もうコーヒーは淹れ終えた
その夜に必要なものはすべて揃った
あとはテントの外へ出て、仰向けに寝転がればいいだけだった

青い毛布を蹴飛ばして 肩越しに君は小さな咳をまたひとつ
やがて無口な僕たちも 短い言葉を交互に並べてゆく
浮かび上がる山の形 ほどけてゆく雲の隙間から

滞る車の流れに また僕は飲み込まれてゆく
坂を越え角を曲がり 住み慣れた街に帰る途中
照り返す光のプリズム 夜をそっと追い越した朝

have a good day
have a good night

it's 6 o'clock in the morning
there is a ripple in my heart
and it never fade away

今は朝の6時
心の中にさざ波が打ち寄せて
それは決して消えない
......




Sunday, December 1st, 2013
'MAYBE AMERICANS+' Special Night
Live and Poetry Reading with 山田稔明