4/23/2013

TRAVEL WRITING






 雑誌Coyoteの最新刊が出ていた。本屋で「今、旅を書く」と書かれたその表紙を見つけたのは、ちょうど名古屋での自分の展示"MAYBE AMERICANS"がやっている頃だった。パラパラとめくると、ロバートフランクの写真がいくつも使われていた。前にも特集があったし、この雑誌の作り手たちはロバートフランクが好きらしい。すぐに僕は、数ページ使わせてもらってMAYBE AMERICANSの内容を纏めて載せられたら、と思った。載ってもいい気がするけどなあ、となんとなく悔しさみたいなものも同時に。もっとも、原稿を売り込んで行くことも何もしていないのだし、Coyoteに寄稿するなんて簡単に実現することではないのはわかっている。
 まだ少ししかちゃんと読み進められていないけど、最後の方のページをめくってみたらライ・クーダーの小さな記事があった。その中に、「ライブやスタジオが終わった夜、『こんなサウンドを誰が必要としているんだ』とプロデューサーに言われることがある。そんな時、僕は立ち止まってよく考え、想いを留めるようにこう答えるんです。『僕は必要としているんだ』と。」という彼の言葉がある。うん、と心で頷き、そしてさらに認めてくれる人たちだって、数は少ないかもしれないけれどちゃんといることを思い出す。先日までの展示会場での芳名帳を見返す。
「抑制の利いた写真に、旅人というか、異邦人の視点、旅で感じる距離感が切り撮られているようで、はっとしました。」
知らない誰かからのこのコメントがたまらなくうれしい。まだ始まったばかり。