CAFEE TRIESTE

 カフェトリエステ。本か何かで見たことがあったのだろう、サンフランシスコのノースビーチにその有名なカフェがあることは知っていた。多くの文化人たちも御用達の、歴史のある店ということだった。サンフランシスコに着いて三日後にそのエリアまで足を伸ばした。その時に泊まっていた宿からは、歩いて一時間もかからないくらいだったと思う。ノースビーチはイタリア風の飲食店が多く、イタリアの雰囲気が漂うエリアらしい。行ったことはないけど、そんな僕でもたしかにイタリアの雰囲気を感じた。シティーライツ・ブックストアという有名な本屋もある。
 カフェトリエステの前を最初に通った時は、様子だけ道の反対側から横目で見て、店内には入らなかった。入れなかったと言った方がいいかもしれない。店の外でコーヒーを飲みながら談笑したり、新聞を読む常連客たちが画になり過ぎていて、外から見るものだな、と感じてしまったのだ。その後もう一度店の前を通った時には、静かな街角のカフェだったし、ちょうど歩き疲れていたので素直に中に入った。カフェラテをカウンターでもらってから、店の奥の方の壁沿いの席を選んだ。ひとつ席を空けた右隣にいるおじさんはスケッチブックにクレヨンか何かで絵を描いていた。すこしすると左隣の席に、白髪で白ひげをたくわえた、太ったおじさんが座った。丸っこい眼鏡をかけて新聞を読んでいる。おじさんの足下にフと目をやるとVANSのスリッポンを履いていた。僕はこういうおじさんが大好きなのだ。けれど近距離でカメラを向けることはしたくない(できない)から諦めていたら、僕の正面の大きなテーブル席にいたお客が帰ると、おじさんは自らそこに移った。友人らしいおじさんがもう一人合流し、目の前で映画のワンシーンの撮影が始まったようだった。



CAFEE TRIESTE, North Beach, SF

 久しぶりに使ったスキャナがどうも調子が悪くてゴミがすごく付いてしまうけど、そこは大目に見てください。やっと暗室プリントを進めて行くことができていて、その中からたまに載せて行くつもりです。

GREEN KITCHEN


 ついに、やっと始まった暗室作業。相模原の田舎にアトリエとして借りた物件はキッチンがミドリ色だ。今ではもう最初に感じたような違和感はなく、暗い雰囲気になりがちな暗室の印象を緩和してくれているようにも感じられる。キッチンと言っても、ガスは繋げていないし、電気の湯沸かし器でコーヒーとお茶だけ淹れられるスペースなのだけど。とりあえずは居心地のいい部屋をつくった。オークションで安く買った三人掛けの大きなソファも運び込んで、寝ることだってできそうだ。
 最近何人かの先輩方(自分が興味のある世界でやっている、長年やってきた人という意味で)とお話する機会があった。何人か、というか今思い浮かべているのは二人だ。一人とはコーヒーを飲みながら、もう一人とはワインを飲みながら、自分の写真を見てもらったり、これからのことを話したりした。その二人が共通して言ってくれたのは、簡単に言うと「考え過ぎ」ということだった。「みんなそんなに考えずにやってるよ」というニュアンスでもあった。全部をそのまま「そうですね」と聞くつもりは無いけど、それはとても意味のある言葉で、またひとつ楽になった感じ。自分自身のやりたいことをやりたいように続けていく、ということをますますシンプルに考えるようになってきた。と書いてまた気付いてしまうのは「考えている」こと。まあ、人それぞれのスタイルがあるのだから......。