12/21/2012

一年分のベタ焼き


 ベタ焼きをどこで作ろうかという話はあっさりと解決した。去年の秋、神奈川へ引っ越すことに決めたとき、暗室を作らないとなあという話にもちろんなった。そのときにザッツの口から出たのは「うち暗室あるよ」という言葉だった。今僕は彼女の実家でその両親とも一緒に暮らしているのだけど、お父さんの若き頃からの趣味である天体写真のために、納戸が暗室になっているのだ。正確には、なっていた、今は物置になっている。暗室があるといっても、ガッツリ使おうと思うと水場を占領してしまったりいろいろと考えなければいけないことがあるから、結局この家ではプリントすることはないだろうと思っていた。けれど昨日はその物置化した暗室内の荷物を一旦出して、簡易的にだけど一日だけ暗室として使えるようにした。とりあえずベタ焼きだけでもできたらいいな、ということで準備に取りかかってみたら意外とササッとできてしまって、昨日は久しぶりに一日暗室にこもっての作業。アメリカ以前の、去年の末からのフィルムも現像しただけでずっと放置していたから、この一年の自分の見たものを思い出しながらの作業となった。懐かしい光景を見ながら新たに思いつくアイデアがあり、今後どう発表していくかを考えながらの充実しただった。そして実際に、ひとつ次の発表の場を自分の中では決めた。その会場の相手とまだ確認はとっていないが、近々決まると思う。物事が決まり始めると気が早くなってしまって、もうオープニングパーティーのことを考えていたりする。
 という訳でなんとかベタ焼きは出来上がり、今日はそのひとコマひとコマをチェックする作業。昨日暗室内でちょっとだけ見ながら想像を膨らましていた写真たちを、それぞれルーペでじっくり見ながらチェックを入れていく。これは...!と静かに興奮してしまうような写真もあれば、つまらないものもあったり。強く感じるのは、似たような写真が多いということ。街の中で、歩いている人や座っているひとが風景の中にポツンと居る。一気にたくさんの自分の撮ってきたものを見ながら、そんなシーンが好きなんだということを再確認。そう気付かざるを得ないほどそんな写真ばかり。それが自分のスタイルだという自覚を持ってそこからできる何かを追求し続けることかな、と思う。
 今晩はなんと頂いたチケットで、六本木のサントリーホールへクラシックのコンサートを聴きに行く。すこしきれいな格好をしなきゃな、と思ってもフォーマルな服は持っていないので、パーカーをネルシャツに替えるくらい。一日机の上で写真を見続けたので肩が凝った。リフレッシュするためには、なんて言っては贅沢すぎる本物のコンサート。"コンサート"というのはなかなか使い慣れていない言葉で、なんとなく気が引き締まる感じ。