11/12/2012

Arriving in Portland, OR

This morning, Eugene, Oregon

 約十六時間半のバス移動は、終わってみればそんなに長く感じなかった。去年よく利用していた名古屋〜東京間の夜行バスはその三分の一ほどの時間だが、ほとんど同じような感覚だ。そんなにしっかり眠れたわけでもないのだけど。
 ポートランドでの初めの一週間ほどは、友人が紹介してくれた友人がパートナーと一緒に暮らしているアパートに泊めてもらう。MaryとMike。今朝は彼らがバスターミナルまでピックアップしに来てくれ、お気に入りだというカフェへ朝食を食べに行った。ここもコーヒーはスタンプタウンの豆を使っていて、すこし苦手意識のあるフレンチプレスで淹れるコーヒーだったけど美味しかった。最近サンフランシスコではニューウェーブの酸味系のコーヒーを飲むことが多かったが、今朝のコーヒーは違って、ちょうど好きな加減だった。そういえば先日会ったアンドリューも、「ニューウェーブのコーヒーは酸っぱいデスネ」と言っていた。こっちの人はみんなそれを好んでいるのかな、という気にもなっていたから聞いてなんか安心した。それからフレンチトーストにポテト、オムレツ、サラダ。アメリカへ来てから一番おいしい朝食だった。その分すこし値段は高いがまた来たい。今日は彼らがごちそうしてくれた。
 ここまで北上してくると気温は一気に低くなり、もう冬物の上着が必要だ。朝からずっと小雨が降り続く一日、「これがこの時期のいつものポートランドだよ」と言われる。10~12月が雨期だということは知っていたから、まさにこれなんだな、という感じ。残念な気にはあまりならない。そんなに大雨になることはあまりないそうだ。今日はその後家でゆっくりしたり夕飯の買い物へ一緒に行ったり、のんびりしている。本当に偶然なことにMaryとMikeは僕のおじさんおばさんのブランドが大好きだそうで、さらに親日家だ。だから初対面の僕を快く迎え入れてくれたのだろう。和食も好きでさっき料理本を見ながら「今週ちゃんこ鍋をつくろう」ということにもなったし、僕も今度夕飯をつくってみんなで楽しめたらなあと、期待が膨らむ。食を楽しめるというのはいいなあ。そしてポートランドは食を楽しむにはすごくいい場所だ。聞く話だとカリフォルニアのベイエリア以上に食に対する意識が高く、進んでいるという。さっきすこし買い物へ着いて行っただけでもそれは感じられた気がする。オーガニックという選択肢が当たり前に用意されていて、そして当たり前にそれを選択する消費者たち。もちろん一日目にほんのちょっと見ただけの感想だから大袈裟ではあるかもしれないけど。それとコーヒー文化もサンフランシスコ以上に活発だとも聞いた。個人的に自宅で焙煎して豆を売る人や、街中でカートや車で移動販売する人たちも多いと。
 今日は歩き回ることはしていないが、車に乗せてもらってすこし街を移動しただけで、ポートランドの雰囲気はすごく気に入った。正直、期待通りという感じ。この街の人たちは物事を小さく留めようとする気質があるようで、スターバックスも嫌っていて一店舗だけしか無いのだという。むしろ一店舗でも侵入されてしまった!という感じかもれない。大きなチェーン店を好まず小さな店がたくさんあるというのが、こうして居心地よく感じられる理由だろうと思う。窓際の机でこうしてパソコンを触っていて、すぐ横の歩道を歩く人と目が合っても、軽く微笑み合うことができてうれしかった。目の前に置かれている今日買って来たパンプキンパイは、夕飯後に食べられるのだろうか。今楽しみなことのひとつ。

2012.11.11 Sun. evening wrote.