卒園式の終わりに、僭越ながら父母代表として保育園へのお礼の手紙を読んだ。
以下、その中から。
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過剰な安全や効率化を進める世の中で、僕らは「ほんとうのこと」に心を澄ませていたい、と強く願います。
そのために、自分たちで考え、思想を持つこと。
すぐに見える結果ではなく、おだやかに育まれていくもの、いつか芽が出、花咲くことを信じ、時間をかけること。
そして、僕の好きなある映画(マイクミルズ監督『サムサッカー』)でのセリフで、
「大切なのは、答えなしに生きる力だ」
というのがあるのですが、ここではまさにそれを実践を通して見せてもらいました。
もう一つ、人の言葉を引用します。
人間には、二つの大切な自然がある。日々の暮らしの中でかかわる身近な自然、それは何でもない川や小さな森であったり、 風がなでてゆく道端の草の輝きかもしれない。そしてもう一つは、訪れることのない遠い自然である。 ただそこに在るという意識を持てるだけで、私たちに想像力という豊かさを与えてくれる。 そんな遠い自然の大切さがきっとあるように思う。
ご存知の方も多いと思いますが、星野道夫さんの言葉です。
僕はここに出てくる「遠い自然」を想像していると、「遠い友人」というものも思い浮かんできます。
すぐには会えないけれど、遠くにいる友人。かつて共に過ごした友人。
これから子供たちも、僕たち親も、また新たな道へ歩みを進めます。
世の中ほんとうに矛盾することも多く、心を込めて生きようと願えば、少数派になることもあります。
そんな時にこそ、みこべとのんちゃん(園長夫婦)が誇り高く築き守ってきたこの麦っ子畑保育園という存在が、
ぼくらの心に勇気の火(※)を熾してくれるように思います。
そして子供たちの心でそれが燃え続けることを、なによりも願っています。
※初めて保育園にお泊まりをする夜、とある神様から勇気の火を与えられるというのがこの保育園の伝統。